【テロ等準備罪法案】実質審議入りも揚げ足取り質問目立つ 首相出席で政局模様に 

共謀罪の構成要件を厳格化した「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案が19日、衆院法務委員会でようやく実質審議入りした。約7時間の質疑のうち安倍晋三首相も1時間近く出席し、テロ対策の重要性を訴えたが、民進党などは法務委の政局化を狙ったかのような揚げ足取りの質問が目立ち、議論は十分には深まらなかった。

 テロ等準備罪法案は与党内の調整が手間取ったこともあり、国会提出が3月21日にずれ込んだ。野党の反発もあって審議入りは約1カ月後になった。満を持しての実質審議入りだったはずが、初日は入り口から法案の中身とは無関係の問題で与野党が衝突した。

 与党は事前に、法律論に関する審議充実のため法務省の林真琴刑事局長の出席を求めた。しかし、答弁が不安定な金田勝年法相を標的としたい野党は拒否。このため法務委の冒頭、鈴木淳司委員長(自民)の職権による異例の採決で林氏の出席を決定した。

 民進党山尾志桜里政調会長は「委員長までがグルになって数の力で無理やり呼んだ」などと批判。閣僚らの答弁義務を定めた憲法63条を盾に同党は「法務委員一同」名で「看過できない憲法違反だ」との文書を配布し、アピールした。

非建設的な質問も続いた。山尾氏は第1次安倍政権の平成19年2月に第1回東京マラソンが開かれたことを挙げ、「テロ対策に不可欠なら、なぜ第1次政権で成立しなかったのか」とかみついた。これに対し首相は「第1次政権の1年間にできなかったからといって、やらないという理由にはならない。政治は常に大きな責任を持っている」とかわした。共産党藤野保史前政策委員長は「警察の目が私たちの生活の隅々に及んでくる。監視社会だ」と訴え、不安をあおった。

 首相が退席した後は、野党議員も捜査範囲の拡大などを冷静に追及する場面もあった。とはいえ、質問に立った日本維新の会松浪健太氏が「枝葉末節な話を首相や法相に聞くのは問題がある」と嘆いたように、不毛な議論が目立った。

http://www.sankei.com/politics/news/170419/plt1704190084-n1.html </div